今日のインプラント手術は下顎抜歯即時インプラント埋入とGBR(Guided Bone Regeneration:ガイドされた骨再生法)と上顎大臼歯部上顎洞骨移植術と同時にインプラント埋入するものでした。
静脈内鎮静法を行うときに静脈確保を行いますがその際患者さんから血液を採取しておきシャーレに入れておきます。自然に血液は血清と血餅に分かれていきます。移植材料を固める際にはこの血餅に混ぜて使用するとひとかたまりになるので非常に使いやすくなります。また血餅はフィブリンを多く含むので骨形成やインプラントと骨組織の骨結合osseointegrationオッセオインテグレーションを得やすくなると考えられますというのは、骨が形成する過程ではこのフィブリンのネットワークが重要な役割を果たしていることがわかっているからです。また血清も縫合の際に粘膜弁の内側に塗り込んでおくと治りが非常にスムーズになるようです。このような下準備を整えておいて手術がはじまります。
上顎洞骨移植術では本日はラテラルアプローチ(側壁の壁から穴を開けて上顎洞粘膜を剥がしていく方法)で行いました。この部位には動脈である後上歯槽枝や眼窩下動脈の枝などが側壁を走っているので穴を開ける際には注意を払わなければいけません。通常は1.0mm以下の太さですが中には2.0mmに及ぶものもあり事前にわかればこの部位を止血鉗子でつまみその外側を縫合してから真ん中でカットすれば無用な出血を避けることができて視界がよくなり手術しやすく時間もかからなくて終了することが可能になります。この部位の血餅と混ぜた人工骨β-TCPをいれ、インプラント入れて洞粘膜を支えるテントの役割を担ってもらい約6カ月後にはこの部位に骨ができてくることになります。
GBRは骨欠損部位をメンブレイン遮蔽膜(今日はバイオガイドという吸収性のコラーゲンメンブレインを使用しました。一枚3万円します。βTCPは上顎洞度に入れる量の値段は6万円ぐらいになります。上顎洞骨移植にもふんだんに使います)でしっかり覆い縫合することによって欠損部位に骨が再生してきます。この方法も非常に繊細なテクニックが要求されます。
簡単にオペをやっているようでも普通にこのような術式、方法や材料などを巧みに組み合わせながら手術を進行させます。おかげさまで計画通りに手術を終了できました。全身管理と鎮静法を担当する麻酔医、執刀医1名、助手歯科医師1名、助手歯科衛生士1名、不潔係2名で本日の手術は行われました。ご協力ありがとうございました。
安さを売りにしている施設の治療はこれらの中の大部分を削らないと不可能なので、結果も不満足な結果しか生み出せないかもしれません。よくよくお考えのうえ治療をお受けになることをお勧めいたします。最後まで読んでくれてありがとうございました。
インプラント治療について詳しくご紹介します。